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2005/12/27

第56章 その後の日々

 私達は、平成16年8月16日(月曜日)を家内の実家で迎えた。前日まで、家内の兄弟姉妹とその家族が多数集まり、大いに賑わっていたが、お盆休みも少なくなり、皆それぞれの生活の場へと帰っていった。前日の夜帰る家族、16日早朝に帰る家族等々、「またお正月に!」と挨拶を交わしながら、それぞれのペースで去っていった。
 毎年、最期に家内の実家を離れる私達は、この時期いつも二人とポチだけであったが、更にこの年は二人きりの寂しい夏となったのである。
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 月曜日ということで、ポチの消息の新しい情報が入っていないか、各関係機関に問い合わせたが、良い結果は得られない。何か情報が入れば知らせてもらうことをお願いする。
 昼過ぎには、私達の職場、友人、ご近所等へのお土産の買出しに市街へ出かけ、その帰り私の実家へ立ち寄った。もしポチが、実家の近所の敷地内で息を引き取っていたならば、亡骸が発見された時、そのお宅に迷惑を掛けることになる。その為、実家の周り数軒に、予めその旨の挨拶に伺うためであった。
 
 「もし犬の亡骸を見つけたときは、遠慮なく何なりと私の実家へ申し出てください」とお願いする。近所を回りながらも、念のためと思い、気になる場所を捜す二人であった。
 挨拶周りの後、実家で小一時間程過ごし、今後のことを重ねてお願いして家内の実家へ帰ったのである。翌17日の明け方には、私達も生活の場へ帰らねばならなかった。

 その夜、荷物の整理をしながら、私達は話し合った。時間と距離的には遠回りとなるが、今一度私の実家の近くに行き、せめて魂だけでも一緒に連れて帰ってやろうよ、と決めたのである。

 17日、朝5時、私の実家の前に着いた私達は、何時もポチが乗り降りした左後部のドアを開け、「ポチ、帰るよ、早く乗って、」と声を掛ける。そしてドアを閉め、家の回りの道路をゆっくりと回り、更に数箇所で同じ動作を繰り返した。「確かにポチは乗ったよ、」家内が涙を頬に伝わらせながら、震える声で私に言った。私は「うん、乗った、」と頷いたが、声はかすれていた。不覚ながら涙が溢れてしまっていた。
 帰りの道路においても、何時もポチが乗っているように、後部の窓を少し開け放し走行したのであった。

 18日以降、通常の生活が始まったが、ぽっかりと心の中に穴が開いた心境であった。
 帰宅してすぐ、京都府北部の地方紙に、ポチの写真付きで迷い犬捜索の記事掲載の手配する。担当女性記者は「かわいいワンちゃんですね、早く見つかると良いですね。」という暖かい言葉を、電話越しにくれたのであった。

 その後、記事を見た読者から、この犬を見かけたという情報が数件あって、父、弟、甥がすぐに動いてくれたが、いずれも誤報であった。当然に各関係機関にも何度か問い合わせたが、情報は得られず今日に至ったのである。
                                 つづく 

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コメント

ゆきさん、コメントありがとうございます。
その後、年末、今年のお盆と2回帰省し、亡骸を見つけようとも試みましたが、たとえ場所は一緒であっても、時の流れが過ぎさっていることに、気付かされました。やはり、あの日あの時は永遠に帰ってこないことを自覚しました。
今は、家族の一員として楽しい思い出を残してくれたポチに、ありがとうと言いたい心境です。

投稿: 益樹 | 2005/12/30 14:00

くっくちんさん、こんにちは。
いつも記事をご覧下さりありがとうございます。確かに仰るとおり、辛い結果であっても、その結果をこの目で確かめることの出来ない虚しさ、もどかしさに心を苛まされた日々もありました。しかし今思えば、彼は彼自身の意思で紐を解き、彼自身の意思で身を隠して、自然の中で永遠の眠りについたということです。これも摂理なのかも知れませんね。

投稿: 益樹 | 2005/12/30 13:53

益樹さん、こんにちは。
本当におつらい日々を過ごされましたね。
私は語彙に乏しく、うまくお慰めできないのがもどかしいです。
ポチちゃんは、確かに車に乗って帰ったのだと思います。
後ろの座席にお利口に座って、帰ったのでしょうね。
ドアを開けてあげる益樹さんと奥様の、ポチちゃんへの深い愛情が伝わってきて、胸が熱くなりました。

投稿: ゆき | 2005/12/30 11:01

こちらのブログに初めて出会った時、ポチちゃんの、たくさん愛されている子の笑顔に一目ぼれして、ミックスの子達の笑顔が何よりうれしい私は、すぐにリンクのお願いをさせて頂きました。
その際頂いたお返事に、失踪されたことをお聞きして、晴天の霹靂で、言葉を失いました。
それからは、ポチちゃんの優しい思い出に胸を打たれながら、どんな御気持ちで、この優しい日記を書き続けていらっしゃるのだろうと、思いをよせていました。
ポチちゃんは、確かに幸せだった。最期のそのときまで、魂は益樹さんご家族のお傍にあったと思いました。
その時が、明白にならない分だけ、思いきれないたくさんのものが、おありになったことと思います。
もしかしたら、それだけポチちゃんが、ご家族の傍に長くいたい気持ちだったのかもしれないとも思いました。

たくさんたくさんありがとうございました。
どうか、よいお年をお迎えくださいませ。

投稿: くっくちん | 2005/12/30 10:00

ばあやんさん、こんばんは。
亡骸は見つかりませんでしたが、せめて魂だけは我が家に連れて帰ってやりたいと思いました。ペットロス症候群を治すのも、月日を重ねるしかありませんでした。1年半経ち、今は楽しい日々を私達に与えてくれたポチを思い出す毎日です。

投稿: 益樹 | 2005/12/28 20:45

いつも3人だったのに、一人いなくなるとぽっかりと心に穴が開いてしまって、どうしようもないお気持ちが伝わってきます。
帰りは、魂はお二人のお気持ちとともにおうちにかえって安らかに眠っていることと信じます。ポチちゃんの笑顔が見えるような気がします。

投稿: ばあやん | 2005/12/28 08:47

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