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2005/11/09

第49章 ポチのちゃぶ台

 足腰の衰えてきたポチは、家に居る時、殆んどうつ伏せになって寝ていた。
但し、食事時と、水を飲む時は、懸命に両足を踏ん張りながら、時間を掛けて立ちあがった。しかしながら、その足はぶるぶると小刻みに震え、長時間立っていることは出来なくなっていた。

 更に、餌を食べたり、水を飲むためには、どうしても頭を下げなければならない。唯でさえ、立っているだけで精一杯のポチにとって、頭を下げることは重心が前足に掛かり、体を支えきれず前のめりに倒れてしまうことを意味した。このままでは、ポチは食べることも飲むことも、出来なくなってしまう。家内から私に、「ポチが頭を下げることなく、食べたり飲んだりできるように、何か工夫してよ!」と、注文が来たのであった。
poticyabudai1
 私は、早速ポチの「ちゃぶ台」の製作に掛かった。餌用と、水用の両方を作る。製作自体は半日で出来るのだが、高さを決めるのに苦労する。高すぎてはポチが餌を食べ難く、低すぎると頭を下げる負担が大きくなるからである。
 最初は、ちゃぶ台の足を長めに作った。、数日、実際にポチが餌を食べる様子を観察し、徐々に短くしていく。短くしすぎないよう気を付けながら、5mm単位で短くしていった。3回ほど調整した高さで良しとしたのであった。
pochicyabudai2
 夕刻、「ポチ!ごはんだよ!」 家内が耳の遠くなったポチに聞こえるよう、大きな声で呼びかける。寝ていたポチは家内の声を聞き、何回か足をばたつかせながら立ち上がる。そして、リビングの隅からダイニングへ数メートルの距離を、ヨタヨタと歩く。まっすぐに歩いているつもりなのだろうが、顔と体が少し斜めに向いてしまっているので、少し違う方向へ歩いてしまう。それでもどうにか餌の有る所に辿り着いた。

 ここで私の作った「ちゃぶ台」が、効果を発揮したのであった。ポチは体を左右に揺らしながらも、美味しそうに餌を食べた。勿論、食べる量は若い頃の食べる量とは比べるべくもなかった。
 尚、この主をなくした二つの「ちゃぶ台」は、今は家内の趣味の園芸用の花台になっているのである。
                                   つづく

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コメント

ののぱぱさん、おはようございます。
日曜大工は趣味の一つですので、製作自体は難しくありませんでしたが、やはり調整に時間が掛かりました。
ポチはこの台を1年ほど使いました。それでも最後の2、3ヶ月は、長時間立っていられないので、お腹の下から手で体を支えてやりながら食べさせたものです。

投稿: 益樹 | 2005/11/13 09:26

お手製の「ちゃぶ台」。すばらしいです。
きっと、食べやすくなって、ポチちゃんもずいぶんお気に入りだったのでしょう。これがあるのと無いのとでは、食欲にも大きな差が出たのではないでしょうか?やはり体の大きさにジャストフィットさせるには、手製が一番ですね。

投稿: ののパパ | 2005/11/12 22:07

ゆきさん、コメントありがとうございます。
ポチも若い頃は、ガツガツとあっという間に餌を平らげ、私達がまだ食事中なのをじっと見上げて、おこぼれの催促をしていました。
年を取ってからは、食べる量も少なくなったのは勿論、食べる速さも格段に遅くなり、休み休み食べる状態になりました。また餌を全部食べ切ることもなくなりました。
若い元気な頃を知っているだけに、寂しい思いが有りました。

投稿: 益樹 | 2005/11/12 18:22

益樹さんおはようございます。
お手製のちゃぶ台、素敵ですね。
ご飯を食べるという行為は、生きるための一番の基本ですものね。
益樹さんのちゃぶ台で美味しくご飯が食べられて、ポチちゃんの生きようとする気力も、また強まったのではないでしょうか。
ポチちゃんのために様々な工夫をなさる益樹さんと奥様には頭が下がる思いです。

投稿: ゆき | 2005/11/12 06:04

ばあやんさん、コメントありがとうございます。
使い主のいなくなった台なので、処分しようかとも思いましたが、踏ん切りがつかず、かと言って、趣味の日曜大工で何かに再生するには結構汚れていました。
家内が花台に使って余生を送っています。
でも、花台としてデザイン的にはパッとしませんね。

投稿: 益樹 | 2005/11/10 17:58

おはようございます。
ポチちゃん専用のちゃぶ台の汚れが、在りし日のポチちゃんをしのばせるようで、涙が出そうになりましたが、奥様が花台として使っておられるのですね。
5ミリずつ足の高さを調節されて、ポチちゃん、益樹さんのおうちで暮らすことが出来て、幸せだっただろうなとあらためて思いました。

投稿: ばあやん | 2005/11/10 08:23

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