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2005/10/27

第47章 「お犬様でしたか。」敬語を使われたポチ!

 月日の経過と共にポチは、「ゴヘェ~ッ!、ゴフェ~ッ!」と、薬では抑えられない咳をするようになっていた。
 無事夏を過ごし、秋が過ぎ、冬の寒さに耐えているポチにとって、2月は花粉症が始まる二重の苦しみの月である。平成15年のことであった。
 
 「ゴフォ~ッ、グッ、グッ、グフェッ~クション!!」本当に苦しそうである。鼻が詰まり、更に大きなくしゃみは、心臓肥大で薬漬けのポチの体にとっては大きな負担となった。
 足腰も相当に弱って来てはいたが、まだどうにか階段の上がり降りは出来ていた。私達が仕事に行っている間、ポチは、「ゴフォッ~、ヘェックショ~ン!」と咳き込みながらも、暖かな陽だまりを求めて、家の中をあちらこちらとうろついていたようである。
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 私達の休日に、電気屋さんが、頼んでいたエアコンの見積を持って来てくれた。古くなったエアコンを入れ替えるためである。その電気屋さんが玄関先で、「先日、別件で近くまで来た時、お寄りしたのですが・・ おじい様が2階にいらっしゃった様子でしたが、チャイムを押しても聞こえなかったようで・・」と話し始められた。
 私も家内も(うちにはおじいさんはいないのに??)と首を傾げている時、「お客さんは、誰ぇ~?」とポチが、いつもの様に咳込みながら、「ドッスン、ドッスン」と階段を降りて来た。
 
 階段を降りてくるポチを見た途端、電気屋さんの目が点になった。階段を見上げ、ポカンと口を開け「はぁ~?お犬様でいらしゃいましたか・・」とビックリしていた。家内も「はぁ~?犬ですが・・・!?」と、これも訳の分からない返事をしていた。
 電気屋さんが言うには、「先日チャイムを鳴らした時、私が聞いた”ゴッホン!ゴッホン!”という咳は、正しく人間のおじいさんの咳でした。」との事であった。見積もりの説明をしながらも、私達の側で一緒に話を聞きながら咳き込んでいるポチを見て、電気屋さんは、頭をフリフリ「ふ~ん」と本当に狐に騙された様な表情であった。
 この愉快な話は、私達にとって、大笑いした忘れられない思い出である。

 そして、この話には、もう一つ落ちがあった。今年に入り、このブログを書き始めて暫くしてから、家内がお隣の奥さんとの世間話の中で、ポチの思い出をブログに綴っている事を話した際、「ポチはちゃんと留守番犬になっていたわよ」という話になったそうだ。
 私達の留守中、作業服を着た人が庭でウロウロしていたので、奥さんが声を掛けてくれた。「お二階にどなたかいらっしゃるようなんですが・・」と言う一見怪しそうな人に対して、「お留守です」と言ってはまずいと思った奥さんは、「いらっしゃるのは耳が遠いおじいさんなんで・・」と、咳をしているポチを人間のようにカモフラージュしてくれたとの事であった。
 
 そう、その一見怪しげな人が、あの電気屋さんだったのである。ポチを見上げた時の電気屋さんの摩訶不思議そうな顔(なんで、耳の遠いおじいさんが犬なの??)の意味がつい最近、理解できたのであった。
 怪しげな人は、ただ一人、ポチに敬語を使ってくれたいい人なのであった。
                               つづく

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2005/10/20

第46章 ポチ、ストーブの前に座り込む

 心臓病の進行により血液の循環が徐々に悪くなったポチは、秋も深まり少し肌寒くなっただけで、私達のそばに来てピッタリと寄り添うようになった。平成13年の晩秋からである。
 
 更に、初冬に入るとポチは、天然の毛皮を着ているというのに、寒い寒いと小刻みに震えた。家内が台所に立っているときも、のそのそと近寄り、「寒いよう~!」と震えながら訴えていた。
 家内は「もう~、相変わらずポチは、大袈裟なんだからぁ~、こっちにおいで!」と、ポチをリビングに連れて行った。そして、ひざ掛けを頭から体全体にふんわりと掛けてやると、まるでガウンを頭から被ったボクサーのように、ポチはその場所で、そのままの状態でじっとしていた。
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 暫くすると寒さが収まったのか、ポチはひざ掛けを頭から体に掛けたまま、うろうろと歩き回る。うっかりすると踏みつけてしまうような場所で、ひざ掛けを頭から被ったまま、丸まって寝てしまう。
 見かねた家内は、ポチの為にベストを急遽編むことにした。ちょうど私のセーターを編み始めていたのだが、「ポチのベストが先ね!」と言って、私のセーターは後回しになってしまったのである。

 せっかちな家内は、夢中になってポチのベストを網みあげる。両サイドに縄模様の入ったおしゃれなベストである。頭と、尻尾の所に、丸く穴を開けた優れものであった。ポチも大変気に入り、「ポチッ、ベスト!」というと、のっそりやってきて、早く着せてとばかりに、じっとしていた。ポチにとって、冬には欠かせないアイテムとなった。
 ポチはその後も家内に、柄が入ったベージュのベスト、グレーに棒線の入ったベストと、計3着を編んでもらって、着まわしていた。

 何年かすると、純毛で編んだベストは、何度も洗っているうちに縮まってしまい、頭用の穴からポチの顔が通りにくくなったりもした。それでも寒い日には、ポチはお気に入りのベストを着たうえ、ストーブの真ん前にうつ伏せに寝転んで、気持ち良さそうに寝ていた。しかし寝ながらも、年を重ねると共に「ゴフォ、ゴフォ」と咳込む事が多くなった。

 因みに私のセーターはというと、片腕の途中で編むのを中断していて面倒になった家内は、「ポチと一緒で、ベストでいいでしょう!」と省略してしまった。
                                つづく

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2005/10/14

第45章 ポチ!冷え冷えマット使って!

 心臓の病気を発症してからのポチは、極端に暑さ、寒さに弱い犬となってしまった。一方、自然派の家内は、夏でも余程暑くないと、エアコンを入れない主義であった。
 
 ポチが「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、」と暑い息を吐きながら、家の中の涼しい所を求め歩いて、「暑いよう~」と家内に訴え掛けても、「ポチッ!大袈裟ねぇ~!人間の私が我慢してるんだから、あんたも我慢しなさい!」と、訳の分からない事を言われていた。私はと言うと、暑さもさることながら湿気に大変弱く、エアコン大好き人間なのである。従って、ポチの気持ちが良く分かった。家に居るときは、すぐスイッチONである。ポチも気持ち良さそうである。
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 私がリビングでエアコンをつけ、快適にくつろいでいると、家内が台所に行き、「何で台所に誰もいないのに、エアコンつけっぱなしなの!」と、すぐにスイッチOFFである。私は、「ポチが寝ているんだよ!」と反撃する。「ポチがリビングに行けばいいでしょ!」と家内・・・。「まったく!ポチに優しく、自然には優しくないんだから!・・節電!節電!」毎年繰り返す会話であった。
 それでも私は挫けず、二人とも仕事で家を留守にする日には、私より後から家を出る家内に、「今日は暑くなるから、エアコン絶対に消さないでよ!」と、念を押すのであった。

 ある日、二人でホームセンターに行った時、家内が「これ!これ!」と言いながら、[冷え冷え!これでワンちゃんも夏ばて知らず!]と宣伝文句が謳ってあるマットを持ってきた。保冷剤に水を含ませナイロンメッシュのカバーがあるタイプである。家内は喜び勇んで買って帰った。「ポチ、涼しいよ!」と、夏場ポチがお気に入りの場所としている、台所のテーブルの下に、そのマットを敷き始めた。

 そこに寝ていたポチは、「何するんだよ、寝ているのに邪魔だなぁ!」とばかりに、マットを避けて寝転ぶ。「ポチッ、マットの上で寝てごらん!」と、家内は無理やりポチをマットに乗せる。ポチは逃げる。いたちごっこである。ポチの勝ちであった。家内は諦めたようである。
 
 「せっかく大枚はたいて、大型犬用買ったのに!」ポチが寝なければ邪魔なだけである。マットは家内の職場の犬を飼われている同僚にあげたが、その家のゴールデンレトリバーのチャンプ君も、一度も使わなかったとの事であった。
 そして翌年の夏、新聞広告の、[水に濡らさない”冷え冷え”マット・・カバーは布製!]の文字に心を動かされ、通信販売で取り寄せていた。しかし結果は同じ。ポチは一度も寝ない。どうやら踏んだときプニュ、プニュする感覚が嫌なようであった。今度は家内の友人のペット、猫の花ちゃんにあげたが、花ちゃんも使わなかったとの事であった。

 それ以降、さすがの家内も悪あがきせず、ポチの為にエアコンをつけてやっていた。もちろん弱冷であった。
                                 つづく

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2005/10/07

第44章 ポチは三味線大好き

 投薬の影響でお漏らしをし始めたポチは、有り難い事に、オムツを付ける事を嫌がらなかった。散歩から帰り、足を洗ってから家の中に入り、すぐゴロッと寝ているポチに、「ポチッ、オムツ!」と言いながら、お腹をポンポンと軽く叩くと、ポチは、「ヨイコラショ、」とばかりに立ち上って、上手にオムツを付けさせてくれた。
 我が家に来る人達からも、最初の内は「どうしたのポチ?何着けてるの?」と問いかけられていたポチであったが、やがてポチ=オムツは定番となり、皆に認知されたのであった。
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 さてこの時期、あるきっかけから家内は、お隣のお婆ちゃんに、三味線を習う事になった。そしてポチは、どういう訳かこの三味線の音が、いたく気に入っていたのである。
 一ヶ月に2~3回、家内と、家内の友人と、そしておばあちゃん先生の三人が、都合のいい時に我が家に集まり、三味線教室の開催となるのであった。因みに、このお稽古は今も続いている。
 
 三味線を持って皆が集まると、ポチは嬉しそうにお出迎えをした。
 家内と友人が、おばあちゃんに向き合って稽古を始める。そして三味線の音が鳴り出すとポチは、三人のど真ん中に来てじっと立って、気持ち良さそうに、頭を上げた状態で、音色を楽しんでいたようだ。
 暫くすると、ポチの癖で「フンッ」と鼻を鳴らしてから、その場所で横になり、稽古が終わるまで気分良く寝転んでいたのであった。

 いつもポチは、散歩が終わり一段落すると、お気に入りの2階でリラックスしていた。晩年、ポチは耳が遠くなり、皆が集まったのに気付かない時があった。家内達が稽古を始めて暫くすると、「ドッ、ドッ、ドッ、ドテッ、」と、ポチが階段を駆け下りてきて、「何だ、皆んな来てたの!」とばかりに、それぞれに「ペロ、ペロ、ペロ、」と挨拶をして回った。
 「もう~いいよ!ポチ!有り難迷惑だよ!」と言われてから、ドカッと三人の真ん中に寝て、三味線を楽しんでいたポチであった。
 ポチが居なくなった直後の稽古の日、おばあちゃん先生は、家内に泣かれるものと覚悟して来訪したとの事であった。しかし家内は「大丈夫!大丈夫!」と気丈に言って、その日の稽古は無事に終わった。また、ポチの思い出も、明るく喋っていたそうだ。

 ところが、その後何度目かの稽古の日家内は、心地よく三味線を弾いている途中、ふっ~と急に涙が溢れてきて、「やだぁ~、急にポチが舞い降りてきちゃったぁ~、」と大泣きをしてしまったのであった。
 おばあちゃん先生も友人も、「やだぁ~もう、もらい泣きしちゃうじゃない~、」と言って、皆でポチを偲んでくれたとの事であった。
 ポチも病気の進行と共に、気温の変化に弱くなっていった。次回は暑さ対策編を・・
                                 つづく

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