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2005/08/04

第32章 ポチが新幹線に乗った日(2)

 ポチを新幹線に乗せるため、出発前日に、ポチをゲージに入れる訓練を、自宅で始めた家内であったが、犬小屋にさえ入らないポチが、そう簡単にゲージに入るはずもなく、彼と家内とのバトルがスタートしたのである。
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 リビングの真ん中に、麻紐で頑丈に補強されたゲージを置き、ポチをジャーキーでゲージの前まで誘導しようと試みた。しかし、ポチは、いつもと違う雰囲気に警戒し、簡単に家内の作戦には乗ってこない。
 今度はジャーキーをゲージの奥に置き、家内はリビングから出て、外からポチの動きを窺う。ジャーキーを食べたいポチは、ゲージの回りをグルグル廻りながら、前足でゲージをガリガリ、ガリガリと引っかく。
 暫くして、ようやくポチがゲージの入り口に頭を突っ込んだ。(やったー!)と家内がニンマリしたのも束の間、ポチは頭だけゲージに突っ込んだ状態で、前足を思い切り伸ばし、ジャーキーをゲージの外まで掻き出してしまった。大好きなジャーキーをゲットしたポチは、両前足で抱えて、美味しそうに食べ始めた。失敗である。

 再度、ゲージの奥にジャーキーをセットする。今度は、家内は知らん顔をしそっぽを向きながら、ゲージの側で待機する。ポチが用心深くゲージに頭を入れた瞬間、家内はポチのお尻に手を掛け、ゲージに押し込んでしまった。
 「何をするんだよ!」とポチは、家内が閉めたゲージの入り口を、前足ででガリガリ掻き始めた。家内は「ゴメンねポチ!お願いだから大人しく入る練習をして!そうでないと、N獣医師(せんせい)の所でお留守番になっちゃうよ!」と、ゲージの隙間から指を入れながら、ポチの背中を擦ってやっていた。
 ポチも家内をじっと見ながら、その真意を感じようとしていた様子であった。

 さて今度は、ポチを入れたゲージを、家内がどの様にして持ち運ぶかである。ゲージ自体の重さは約3kg、そしてポチの体重は約13kg、合計16kgの重さになるのである。
 ポチ自体を抱くのは、容易なことだが、緊張して動き回るポチが入ったゲージを持ち上げるのは、女性には大変なことであった。

 私は「やはり無理だよ!出来るだけ面倒を見て、どうしても時間が取れない時は、N先生の所に預けるから、ポチは置いていけばいいよ。」と言ったが、家内は「父の介護生活は、何年続くか分からないので、今後のためにも、一番いいと思う方法には、1回は挑戦してみないと」とギブアップしない。
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 今度はボストンバックに付属していたショルダーベルトを見付けてきて、これをゲージに付けてくれ言い出した。どうやらベルトを首に掛ける為らしい。一旦ポチをゲージから出し、ベルトを付け足した。
 「うん!これならポチが中で動いても、振り回されにくいよ!」と家内・・・。再度、ポチをゲージに入れて試そうとするが、ポチは入ろうとしない。こんな状態で明日大丈夫か?・・不安であった。家内は「明日が勝負!」と・・逞しい。

 翌朝家内は、ゲージを提げた前だけが重いと、体のバランスが取れないとのことで、自分の必需品・ポチの水入れ・ポチの餌入れ等を詰め込み満杯になったリュックサックを背負うことにしたのである。
 新横浜から京都まで、朝一番の新幹線に乗せるべく、私は出勤前に、家内とポチを新横浜駅まで車で送って行った。
 家内がポチの切符(ポチは手荷持扱い)を買いに、窓口へ行っている間、私は駐車場付近で、ポチを散歩させてやった。家内が戻って来た。「さぁ~ポチ!出発だ!」家内がゲージを支え、私がポチを入れる役となった。当然にポチは、ゲージに入るのを嫌がった。
 
 私は最悪の場合、ポチを自宅に連れ帰る覚悟があったので、無理に押し込む事が出来ない。家内は「もっと真剣に押し込んでよ!!」と必死である。漸くポチも二人のパワーに根負けして、ゲージに入ってくれた。改札口までゲージを運んだが、男の私が持ってもかなり重かった。それを家内が体の前に提げ、リュックを背中に背負う。義父への愛情、私やポチへの思いやり!!・・頭が下がる思いであった。と同時に、腹を決めたときの女性の逞しさを実感したのであった。
 
 「ポチ!新幹線の中で大人しくしていてくれよ!」私は祈る思いで、ホームへと上っていく家内の、背中の大きな赤いリュックを見送ったのであった。
                                      つづく

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コメント

ばあやんさん、こんにちは。
無理にでもゲージに入れることには成功しましたが、ゲージの中から恨めしそうに、ジッとこちらをにらんでいるポチの目が、今でも忘れられません。

投稿: 益樹 | 2005/08/07 10:38

無理やりでも一応ゲージに入ってくれたのですね。うちも犬を買ったときにゲージも買いましたが、無理に入れると、キューンキューンと悲しげに泣くので、それからは、反対にゴローに咬まれてはいけないものを入れる場所にしています。
今はしつけに一生懸命です。

投稿: ばあやん | 2005/08/07 07:16

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