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2005/07/04

第21章 ポチが好きになった犬「マリ」

 ポチとの散歩では、色々な犬との出会いがあった。事故に結びついた残念な出会いもあったが、逆に微笑ましい出会いもあった。

 家内とポチが散歩中のことである。急にポチが立ち止まり尻尾を振りながら、遠くからこちらに向って歩いて来る犬をじっと待つ。優しそうな奥さんに連れられた柴犬であった。その犬はオドオドしながらポチに近づいた。尻尾は下げたままである。ポチは愛おしそうに、その犬の顔を舐めたのであった。
 「マリ、尻尾を振ってごらん、こうして振ってごらん・・」と、その奥さんはマリと呼ばれた犬の尻尾に手を沿え、振り方を教えていた。マリは心に傷を持っていたようで、尻尾を振ることが無いということであった。
pochi
 その後、ポチとマリとの出会いは数度あったが、ある日マリは、鼻をポチに付けながら、突然尻尾を持ち上げ、ゆっくりと振り始めたのである。奥さんが「マリー!やっと尻尾が振れたね~、よかった~」と嬉しそうに、事情を家内に話し始められたのであった。

 以前、奥さんの息子さんが、横浜市内で追突事故に遭われ、救急車で病院に運ばれた時、一緒に車に乗っていた愛犬(柴犬)が、事故に驚き、飛び出して行方不明になってしまったという。
 その後、息子さんの状態も落ち着き、行方不明になった愛犬を捜されたが、見つからなかったそうである。
 
 そのうち、事故現場の近くに張り出された犬捜索の張り紙を見た人から、良く似た迷い犬がいるとの情報があり、駆けつけ、そしてマリと出会ったという。
 残念ながら自分達が捜していた犬ではなかったが、痩せて怯えきったマリを、そのまま見捨てることができず、行方不明になった犬の替わりに、マリを自宅に引き取ったとのことであった。

 「やっと犬らしい感情を表してくれた!」と奥さんは、マリが尻尾を振ったとき涙ぐまれたのだった。
 ポチも貰い手が無い状態で、縁あって我が家にやって来た犬である。互いの境遇が分かるのか、何か通じ合うものがあったのだろうか。

 それからのマリはポチを見かけると、尻尾を振って走って来るようになった。奥さんも嬉しそうに「有り難う!」と言って、いつもポチの頭を撫ぜてくれた。
 ポチがいなくなった後、買い置きして残っていたポチの好物のジャーキーを、マリにもらって頂くよう、奥さんにお願いした家内であった。                      
                                  つづく

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コメント

>hitujiさん、コメント有り難うございます。
2歳で我が家にやって来たポチがなくなったのは、16歳の夏でした。本当に色々な感銘を与えてくれました。

ところで、私も一昨年の夏に、52歳で行政書士事務所を開業した新人(?)です。商売はなかなか難しいものですね。

投稿: 益樹 | 2005/07/06 23:43

初めまして
「Mr.ダルクス コロ」の飼い主hitujiです。

人間に出会いがあるように犬にも出会いがあるんですよね。
仄々としたものを感じました。

全部とはいきませんが、遡って拝見していますが、ひとつの聖家族的雰囲気が漂ってきます。
エッセイは人柄だという基盤の感銘でもあります。ポチも幸せだったが、それを愛したご夫婦の幸せも偲ばれます。

ひとつ、びっくりしたことを付け加えさせていただくと、益樹 のお仕事は家の夫の仕事と関連しています。昨年、開設したばかりですが司法書士事務所をやっています。

投稿: hituji | 2005/07/06 22:28

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