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2005/02/19

第1章 ポチが我が家にやって来た日

 ポチが我が家にやって来たのは、平成2年の11月も終わりの頃で、庭には、散り残っているコスモスが咲いていたのを記憶している。彼の生まれた年月は分からなかったが、家内からは、2歳になっていると聞かされていた。
 
 晩秋、晴れた日曜日の午後、まだ若い前の飼い主夫妻とポチは、彼の犬小屋と一緒に、車に乗ってやって来た。もっとも、ポチという名は私達夫婦が付けた名前で、それまでの呼び名は、今となっては分からない。
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 前の飼い主夫妻は、ポチと犬小屋を手早く降ろし、私達に「それでは宜しくお願いします。」と告げ、ポチに別れを惜しむ間もなく、早々と去っていった。
 
 私達は家の南に面した庭の東端に犬小屋を置き、ポチを庭に放してやった。彼はしばらく庭の中をうろうろと回りながら、家の壁、植木、草花、フェンス等に、鼻をくっつけクンクンと臭いを嗅ぎ回っていたが、やがて顔を高く上げ、「うぉ~~ん、うぉ~~ん」と何度も遠吠えを繰り返した。
 
 2年近く一緒に暮らした、前の飼い主に対する惜別の感情表現だったのだろう。私達は「ポチ、ポチ」と繰り返し呼び、「今日からここがお前のおうちだよ」と、彼の頭を幾度も撫でながら言い聞かせた。
 
 夕方になり、犬小屋に入るかと見守っていたが、彼は二度とその犬小屋に入ることはなく、庭の隅で寝ることを決めた様子であった。
                                   つづく

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