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2005/02/27

第3章 ポチと初めて遠出した日

 ポチと車で初めて遠出したのは、平成2年の暮、私達夫婦の故郷に帰省した日だった。私達夫婦は京都府北部の出身で、二人の実家は互いに隣町にある。
 毎年、盆と正月には車で帰省し、それぞれの実家に、3日から4日づつ滞在するのを、恒例としていた。
 ポチを連れて帰省するか、自宅近くの獣医さんへ預けていくか、悩んだが、我が家に来て1ヶ月、漸く新しい環境にも慣れた様子であり、彼だけを残すのは可哀そうと思い、連れて行くことにした。
  
 いきなり遠出では、ポチには大変なストレスになるので、近場に数回彼と車で出かけ、慣らすことにした。後部座席に彼を乗せ、窓を少し開けフレッシュな空気が入るようにし、出発する。
image03160504ポチは、少し開いた窓から鼻を突き出し、外の空気の匂いを嗅ぎながら乗っていたが、10分ほど走ったところで、「うお~~ん、うお~~ん」と遠吠えした。我が家に来た日、車で連れてこられたのを思い出したのか、そわそわ落ち着かなかったが、家内が頭、胸等を撫でてやると、漸く落ち着いたようであった。
 
 数回の乗車経験を経て、いよいよ神奈川県から京都府へ、およそ8時間の長旅に出発した。途中2時間毎に、パーキングエリアで休憩を取り、水を与え、用を済ませる。
 ポチをパーキングエリア建物内に連れて入ることは出来ないので、私達の食事は、建物の外へ持ち出しが出来る、うどん、そばをとる。
 真冬であったが、後部座席の窓を適度に開け、新鮮な空気を入れるのは勿論、暖房も極力控えめにし、我々は着膨れ状態で田舎まで走った。
 私達それぞれの実家でポチは、親、兄弟、甥、姪等、家族全員から大歓迎を受け、たちまちに人気者となる。

 以後、正月と盆の年2回、ポチとの往復16時間に及ぶ車での長旅は、平成16年のお盆まで、繰り返されされることになる。
                                   つづく

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2005/02/23

第2章 ポチと初めて逢った日

 ポチと初めて逢ったのは、ポチが我が家に来る1週間前の日曜日の午後である。それより何日か前に家内から、犬を飼ってもよいかと言われていた。
 
 私の住んでいる神奈川県綾瀬市は、米海軍厚木基地、米陸軍座間キャンプが隣接し、そこに勤務しているアメリカ兵達、その奥さん達が、サイドビジネスで英会話教室を主催し、近隣の住民に教えていることが多い。私の家内も、若いアメリカ兵の先生が主催する英会話教室にかよっていた。先生の奥さんは日本人で、家内とも仲良くさせてもらっていた。
 image02040108先生夫妻は2歳になる犬を飼っていて、それがポチであった。夫妻に子どもが生まれるまではポチも可愛がってもらっていたようだが、子どもが生まれてからは、夫妻の愛情は子どもに移っていたようである。土曜、日曜は家族で外出することが多く、ポチはさびしく留守番をすることが多かった。

 一般的に、日本国内に勤務する米兵は、2年から3年ほどで本国に帰るようになっている。夫妻も平成2年11月末に帰国する運びとなったが、犬は日本に置いていくことにした。
 彼らは兵隊仲間、知り合いなどに声を掛け、犬の引き取り先を懸命に探したが、容易にはみつからず、最悪は保健所に引き取ってもらうことまで考えた末、私の家内にも声を掛けたのであった。

 「とにかく1回犬をみて」と家内に言われ、私たちは座間市内にあった、夫妻の借家まで出かけた。何かおやつをと思いウインナーを2、3個持っていった。その日曜日もやはり、夫妻は留守であった。
 
 家の庭先のフェンスまで行くと、庭の奥に彼はいた。彼は遠くから上目遣いに、「だれ?なにしに来たの?」というように、顔を半分そむけるようにしながら私達を見、鼻をひくひくさせていた。
 持参したウインナーを手に持って振りながら、「おやつだよ」とフェンス越しに何度か声を掛けてやると、漸くゆっくりと、フェンス手前までやってきた。
 
 おとなしくじっとしている彼の頭を、フェンス越しに数度撫でてやり、ウインナーを与えると美味しそうに食べた。しばらく私達は彼を観察し、非常に利口な犬であることが分かり、また私達が飼わないと可愛そうな境遇になることもあって、彼を飼うことに決めたのであった。
                                   つづく

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2005/02/19

第1章 ポチが我が家にやって来た日

 ポチが我が家にやって来たのは、平成2年の11月も終わりの頃で、庭には、散り残っているコスモスが咲いていたのを記憶している。彼の生まれた年月は分からなかったが、家内からは、2歳になっていると聞かされていた。
 
 晩秋、晴れた日曜日の午後、まだ若い前の飼い主夫妻とポチは、彼の犬小屋と一緒に、車に乗ってやって来た。もっとも、ポチという名は私達夫婦が付けた名前で、それまでの呼び名は、今となっては分からない。
image02091116
 前の飼い主夫妻は、ポチと犬小屋を手早く降ろし、私達に「それでは宜しくお願いします。」と告げ、ポチに別れを惜しむ間もなく、早々と去っていった。
 
 私達は家の南に面した庭の東端に犬小屋を置き、ポチを庭に放してやった。彼はしばらく庭の中をうろうろと回りながら、家の壁、植木、草花、フェンス等に、鼻をくっつけクンクンと臭いを嗅ぎ回っていたが、やがて顔を高く上げ、「うぉ~~ん、うぉ~~ん」と何度も遠吠えを繰り返した。
 
 2年近く一緒に暮らした、前の飼い主に対する惜別の感情表現だったのだろう。私達は「ポチ、ポチ」と繰り返し呼び、「今日からここがお前のおうちだよ」と、彼の頭を幾度も撫でながら言い聞かせた。
 
 夕方になり、犬小屋に入るかと見守っていたが、彼は二度とその犬小屋に入ることはなく、庭の隅で寝ることを決めた様子であった。
                                   つづく

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